第8章
絵里
土曜の夜、午後八時半。表彰式の後。
「絵里!」沙耶香が輝くような笑顔で近づいてきた。「理科棟まで一緒に来てくれない? 大事な話があるの」
来た! 私は密かに録音装置を起動させた。今夜こそ、奴らの脅迫と私を陥れようとした証拠を手に入れてやる。
「もちろん」
理科棟へ向かって歩きながら、ついに奴らの現行犯を押さえられると思うと、私の脈は速くなった。
「ねえ、母があなたに直接謝りたいって言ってるの」沙耶香の声は奇妙な興奮を帯びていた。
心の中で鼻で笑う。謝罪ですって? あり得ないわ。
三階でエレベーターのドアが開いた瞬間、私は目の前の恐ろしい光景に凍りついた。
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