第9章
絵里
キャンパスを一人歩いていると、石畳の小道に落ち葉が舞っていた。一歩一歩が、私の新しい人生のリズムを刻んでいるかのようだった。
「おめでとう、絵里!」学生会長が興奮した様子で私の手を握った。「会計のポストは間違いなく君のものだ!君の財務計画案は実に見事だった!」
任命書を受け取ると、胸に温かいものが込み上げてきた。これは情けや哀れみなどではなく、自身の実力で勝ち取った正当な評価なのだ。
「私を信頼してくださって、ありがとうございます」
会議室を出ると、暖かい秋の日差しが顔に当たり、初めて本当の意味で自由になれた気がした。
寮の部屋に戻ると、机の上に小包が一つ置かれてい...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章


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