第9章
午後の陽光がステンドグラスを通り抜け、教室の床にまだらな光の影を落としていた。
私は東京特殊教育センターの聴覚障害クラスで子供たちに授業をしていた。教室では、STARDUSTというバンドの最新MVが流れている。
全ろうの小さな女の子が顔を上げ、手話で私に尋ねてきた。
『白川先生、平世圭の歌って、本当にそんなに素敵なの?』
私は微笑んで屈み、手話で答えた。
『誰の歌よりも素敵だよ』
授業を続けようとした、その時だった。教室の子供たちが突然興奮し始めたのだ。
数人の子供たちが、興奮した様子で手話で伝える。
『あっ! STARDUSTの平世圭だ!』
私は一瞬呆気に取...
ログインして続きを読む

チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章


縮小

拡大