第47章

拓也は丸一時間かけて、上田景川の書斎から出てきた。

彼は細心の注意を払って自分の部屋に戻り、布団に潜り込んでから勇太にメッセージを送った。「兄さん、監視カメラと録音装置を元に戻してくれる?」

「ああ」

勇太はシステムを操作しながら返信した。「随分時間かかったな?」

上田景川の資料がたとえ大量だとしても、こんなに時間がかかるはずがないだろう?

拓也はしばらく黙っていたが、やがてスマホを手に取って勇太に返信した。「彼のパソコンで何か見つけたんだ」

「全部コピーしておいた。これらの資料と一緒に送るよ」

「ママに関することだよ」

「わかった」

弟の感情の変化を感じ取れないまま、勇太...

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