第58章

上田おばあさんが去った後、咲良は再び泣きながら月野里奈の病室に駆け込んだ。

小さな女の子は部屋のドアを鍵で閉め、つらそうに月野里奈の胸元に顔をうずめて涙を拭った。「ママ、咲良はママと離れたくない……」

「曾おばあちゃんの言うこと聞かないで、ね?咲良はママをここに残す方法を考えるから!」

月野里奈は困ったように首を振った。「無駄な努力よ」

そう言いながら、彼女は咲良の小さな顔を両手で包んだ。「咲良もいつかは大きくなるのよ、そうでしょう?」

咲良は言葉につまり、ただ咽び泣くばかりだった。

「安心して、ママは咲良を危険な場所に置いていくつもりはないわ。数日後に問題が解決したら、咲良は安...

ログインして続きを読む