第10章

原生林の奥深く。木漏れ日が、広げた携帯式のソーラーパネルに静かに降り注ぐ。そこから伸びるコードの先で、4Kカメラと衛星トランスミッターが、静かに命を吹き込まれていた。

『無人島十日十夜』が世間を揺るがしてから、二ヶ月が経っていた。私は、二年前に止まったままだったアカウントを再開させ、再び『嵐風』として、この森に立っていた。

ヘッドセットカメラを装着し、一歩踏み出しながら、私は語り始めた。

「皆さん、こんにちは。嵐風です。二年ぶりですが……私のこと、覚えていてくれたら嬉しいです」

私はカメラに向かって、少しだけにかんで微笑んだ。その口調は、まるで昨日まで配信していたかのように、...

ログインして続きを読む