第7章

私の前に、吉田唯が立っていた。かつて完璧に計算され尽くしていたはずのメイクは無残に崩れ落ち、自慢のツインテールは乱れ、純白だったスカートの裾は泥にまみれている。

その首筋に残る痛々しい痣が、彼女と木村の間で何があったのかを、雄弁に物語っていた。

「お願い……何か、食べ物を……」

彼女の声は、か細く震えている。

「わ、私、何でもするから……」

私は黙って彼女を見つめ、すぐには応じなかった。ほんの数日前まで、テレビ画面の中で無邪気な笑顔を振りまいていた「国民の妹」が、今やここまで落ちぶれている。

心の中に複雑な感情が渦巻いたが、それは決して同情ではなかった。

「……ついて...

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