第8章

十日目の朝。目を覚ますと、吉田唯がシェルター近くの茂みに隠れ、昨夜私たちが食べ残したキジの骨を、こそこそと漁っているのが見えた。

かつてあれほどまばゆい光を放っていた「国民の妹」は、今やまるで落ち武者のようだった。自慢だったツインテールは乱れ、純白のロリータドレスは泥と木の葉で汚れ、その裾にあしらわれた繊細なレースは、見るも無惨に引き裂かれている。

私は黙って彼女を見つめたが、心に憐憫の情は一切湧かなかった。私の視線に気づくと、彼女は怯えた野良犬のようにびくりと首をすくめ、素早く骨を掴んで藪の中へと消えていった。

「……まだ、近くをうろついていたのか」

乙川が、いつの間にか私...

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