第74章 調査

佐久本令朝は別荘にも足を運び、帰宅したのは夜中の十一時過ぎだった。

春探しはすでに店じまいしていた。

レストランの外に置かれた小さな箱に、一枚の紙が貼られている。

そこにはこう書かれていた。「しばらく安眠茶は要らないだろうと思って、代わりに棒付きキャンディーを少し入れておいた。でも食べ過ぎは禁物だ。歯は大切に、自己責任でな」

彼の字はとても綺麗だった。

佐久本令朝は鍵で箱を開け、キャンディーを一つ口に含むと、あまり晴れやかでなかった気分が、たちまち晴れやかになった。

彼女はキャンディーを舐めながら、ゆっくりと家路についた。

道中、ずっと阿部書竹のことを考えていた。...

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