第77章 偽装

その後の日々、法医学教室は相変わらず多忙を極めていたが、特別捜査班は逆に閑散としていた。

長谷川寂は頻繁に刑務所へ足を運び、戻ってくるたびにその顔色は陰鬱だった。

長谷川寂が佐久本令朝と周防譲青の間の因縁を知ってからというもの、彼は彼女に一切何も話さなくなった。

佐久本令朝は何度かそれとなく探りを入れてみた。

長谷川大隊長は毎回決まって四文字で返す。「話にならん、聞くな」

余計な波風を立てないため、周防譲青の件は、佐久本令朝も一旦棚上げするしかなかった。

互いに相手が自分を探っていることを知っており、二人とも意地を張り、自分が相手より一歩リードしていると思い込んでいた...

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