第78章 出くわす

 片目は愛想よく応じた。

 佐久本令朝がそのまま帰ろうとするのを見て、なおも食い下がる。

「本当に一杯も飲まないんですか? 最近、姐さんが一番好きな青梅酒を入れたんですよ。手造りの逸品です」

 佐久本令朝は彼をちらりと一瞥した。

「飲まない」

「今の私は警察官だ。言動には慎重を期さないと」

 片目の口角が微かに引きつった。

「姐さんが言動に慎重を期す日なんて来るんですねえ」

 佐久本令朝の眼光が険しくなる。

 片目は瞬時に口を噤んだ。

 佐久本令朝が個室を出て帰宅しようとした、ちょうどその時、見回りに来た警官の一団と鉢合わせてしまった。

 仕方なく踵を返し、個室へと戻る。片目もそ...

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