第79章 交鋒

四時間前。

長谷川寂は刑務所を出た後、特別捜査班の面々が皆早退したと聞き、そのまま自宅へ直帰した。

自宅の玄関先に辿り着いたその時、彼は何かに心臓を撃ち抜かれたかのように、その場で凍り付いた。

ほんの一瞬、魂が抜けてしまったかのようだった。

防御本能が働き、呼吸が短く止まる。

彼の家の玄関前に、一束の薔薇の花が置かれていた。

白い薔薇。

それが血に染まり、赤い薔薇と化していた。

根元だけがかろうじて白さを留めており、今もなお血が滴り続けている。

長谷川寂は、心にぽっかりと穴が空いたような感覚に襲われた。

彼は深く息を吸い込み、荒くなる呼吸を抑えつけた。その顔は冷たく強張り、...

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