第1章 一方的な思い

「炎一、私たちこれってよくないよね……直美さんが知ったら気を悪くするんじゃ……」

「最初からそのためだったんだ。安心して、ちゃんと償うから」

優しく柔らかな女性の声と、低くて馴染みのある男性の声が鈴木直美の耳に届いた。彼女は呆然と病院の病室のドアに寄りかかったまま、虚ろな表情を浮かべていた。

三十分前、誰かから一枚の写真が送られてきた。写真には男女が寄り添って目を閉じている様子が写っていた。男は端麗で女は美しく、温かな愛が感じられた。

女性は橋本優子。そして男性は、彼女と結婚して三年になる夫、藤原炎一だった。

彼女は珍しいレアな血液型の持ち主で、橋本優子も同じだった。三年前、橋本優...

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