第12章 久しぶり

世論の嵐は半月を経て、ようやく収まりを見せた。

それから一ヶ月後、A市恒例の実業界名士晩餐会が予定通り開催された。

この非公開の晩餐会には、各業界のエリートや大物が招かれ、帝国ホテルでは半月前から準備に取り掛かっていた。

ホテルの玄関には高級車が集結し、警備員たちが取材しようとする記者やパパラッチを数ブロック先で食い止めていた。

黒塗りのメルセデスがゆっくりと停車し、ドアマンがドアを開けると、藤原炎一が颯爽と姿を現した。黒いスーツ姿が、彼の威厳と気品を一層引き立てている。

一方、純白のドレスに身を包んだ橋本優子も降り立った。今夜は藤原炎一のパートナーとして、高級ブランドに身を包み、...

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