第2章 離婚

市役所に着くと、鈴木直美がすでにしばらく待っていた。

藤原炎一が現れた瞬間、周囲の視線が集まったが、彼は意に介する様子もなく、不満げに鈴木直美を見つめた。「優子が今、危険な状態なんだ!」

よほど重要な用件であることを祈るばかりだ。

鈴木直美は藤原炎一の態度に全く動じることなく、無表情のまま用意していた書類を差し出した。

「藤原炎一さん、離婚しよう」

彼女の声は穏やかで、今になって気づいたが、離婚という言葉を口にするのは、思ったほど難しくなかった。

藤原炎一は差し出された離婚協議書を見て一瞬固まり、眉をひそめながら彼女を見つめ、その言葉の真意を測るかのようだった。

「今月は輸血が...

ログインして続きを読む