第26章 因縁の再会

階下に着いてみると、クレイジーロックのメンバーは本来の三人から二人だけになっていたが、それでもパフォーマンスには影響がなかった。

かつて好きだった曲を聴きながら、鈴木直美は感慨深く、深江ゆきと一緒に声を張り上げて、感情を発散させた。

一曲が終わり、バンドは次の曲の準備を始めた。

馴染みのメロディーが流れ始めると、小林ちえは鈴木直美の方を見た。

「このバイオリンなしじゃ魂が抜けちゃうわ。鬼塚が虫垂炎の手術で来られないから、直美、あなたが弾いて!」

鈴木直美は驚いて自分を指差した。

「私が?」

「昔彼らがインディーズだった頃、一緒に演奏したのは直美だけでしょう。もちろんあなたよ!」...

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