第27章 賭け

村田蒼は高みから鈴木直美を見下ろし、その目には露骨な軽蔑の色が浮かんでいた。

「へぇ、鈴木直美、お前って本当に演技が上手いんだな。こんな清純な振りして、今度は誰を誘惑するつもりだ?」

秋月オモイと小林ちえたちはまだバックステージでクレイジーバンドのメンバーと話していて、この時ボックス席には鈴木直美と深江ゆきしかいなかった。

深江ゆきは村田蒼を睨みつけたが、村田蒼は深江ゆきのことを知らず、まったく眼中になく、ただ鈴木直美に絡みたいだけだった。

鈴木直美はちらりと彼を見上げただけで、無視して食事を続けた。

「話してるんだぞ!聞こえないのか!」村田蒼は手で皿を払い飛ばし、皿は大きな音を立...

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