第43章 本当に最低だ

藤原炎一は鈴木直美の表情を見ることなく、真っ直ぐに藤原千子の前まで歩み寄り、顔には言い知れぬ冷気を漂わせていた。

「今言ったこと、すべて本当なのか?」

彼は歯を食いしばりながら問いただした。

藤原千子は少し慌てた様子で、下唇を噛みながらどう対応すべきか分からずにいた。

彼女は幼い頃から両親のもとで育ち、海外で育った実お兄さんの藤原炎一とはあまり親しくなかった。彼が帰国してからは商界屈指の経営の天才となり、藤原グループの資産を何百倍にも拡大させた。それによって彼女という藤原のお嬢様はますます傲慢になっていった。

「言え!」藤原炎一は彼女の躊躇いを見て、冷たく迫った。

左後から涼やか...

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