第46章 我慢したくない

藤原千子の顔が強張り、驚きの声を上げた。冷たい水が既に彼女の顔と身体にかけられていた。

鈴木直美は洗面台の装飾瓶を静かに置き、手をはたいた。その眼差しは沈静としていた。「自業自得よ」

「鈴木直美、よくも……」

藤原千子は怒りで顔を青ざめさせ、全身を震わせた。彼女が着ているこのドレスはDIORブランドから直接取り寄せたオートクチュールで、鈴木直美の着ているプライベートオーダーには及ばないものの、それでも9桁からの価格がする代物だった。どれだけの芸能人や有名人が羨ましげに見ても手に入れる資格すらないものが、今こうして台無しになってしまった!

鈴木直美は唇を僅かに曲げ、笑みは目元まで届いて...

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