第54章 チャリティーオークションの罠

藤原千子は憤然と立ち去り、深江ゆきは急いでカードを手に取って、あれこれと眺めながら驚きの表情を浮かべた。「どうしてこんなカード持ってるの?」

鈴木直美は唇を引き締めた。「私が十八歳の誕生日の時に、悠人兄ちゃんがくれたの。外出する時は必ず持っていくようにって言われてたけど、まさか本当に役に立つとは思わなかった」

「どうして神様は私に悠人兄ちゃんをくれなかったのかしら」深江ゆきは羨ましさと嫉妬心を隠せず、額に手を当てた。

鈴木直美は微笑んで、カードを差し出した。「欲しいならあげるよ」

「それはダメよ。このカードは終身認証されてるから、譲渡したら無効になっちゃうの。あなたが持ってて。私が欲...

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