第57章 いくらかかる

来客を見て、藤原晴子は瞬く間に目に涙を浮かべ、興奮した様子で歩み寄った。「炎一……」

「お兄さん、鈴木直美がパイプを奪ったんです!あれはおじいさまが一番大切にしていた品なんです。見つからなかったら大変なことになります!」藤原千子は慌てた様子で口を開いた。

藤原炎一は玄関に立ち、光と影が交錯する中、その姿は高く凛々しく、瞳の奥には冷たい光を宿したまま室内の人々を見つめていた。

「黙れ!おじいさまの物を勝手に持ち出すなど、何を考えているんだ」

彼の口調は鋭く、藤原千子を叱責した。千子は震え上がり、藤原晴子の背後にぴったりと寄り添い、顔を上げることもできなかった。

彼の後ろには今回のイベ...

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