第038章 夢中の恋人?

佐藤深の本当の怒りを見て、高橋晃はそれ以上挑発するのを控えた。佐藤深の相手になれないのは明らかだったからだ。

もちろん、それで諦めるつもりなど毛頭なかった。

一対一では佐藤深に勝てなくても、高橋晃には高橋家という後ろ盾がある。佐藤家に引けを取るものではないはずだ。

「何しに来たんだ?」佐藤深は彼の手に握られた赤いバラを見つめ、妙に目障りに感じた。

高橋晃は肩をすくめ、手術室の方を見やった。

「もちろん愛する女を追いかけて来たんだよ。他に何があると思う?」

愛する女?

たった一晩で、ドクター武内が彼の愛する女に格上げされたというのか?

「警告したはずだ、彼女に近...

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