第049章 彼はただのクソ野郎

武内夕子は声を出して笑いそうになったが、彼女はそれを堪え、悲痛な表情を装って言った。

「そうなんです、あの人はまさにクズですよ!」

「あなたを傷つけたのか?」佐藤深は眼差しを変え、相手を殴りつけてやりたいという気持ちを抑えきれない様子だった。

「うん」武内夕子は頷き、ゆっくりと言葉を紡いだ。

「私と結婚して二年も経つのに、一度も会いに来なかったんです。クズじゃないですか?」

「クズだ!」

佐藤深は歯を食いしばり、胸に怒りが湧き上がった。

「そいつは誰だ?」

あなた、佐藤深そのものですよ!

武内夕子は笑いを必死に堪えながら、首を振った。

「もういいんで...

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