第5章

五年後、東京国際法律サミット。

帝国ホテルの宴会場。クリスタルのシャンデリアが煌びやかな光を落とし、着飾った人々が行き交う会場には、権力と富の匂いが満ちていた。

私は舞台裏に立ち、隙間からステージ下の、見慣れているようでどこか知らない顔ぶれを眺めていた。

「小野弁護士、五分後に登壇です」

とスタッフが声をかけてきた。

私は頷き、オーダーメイドの濃紺のスーツを整える。鏡に映る女の眼差しは鋭く、纏うオーラは力強い。五年前、コンビニのレジカウンターの後ろで縮こまっていた少女の面影はどこにもなかった。

田村弁護士がやってきて、私の肩をポンと叩いた。

「準備はいいか?」

「...

ログインして続きを読む