第100章

ふと何かを思いついたように、薄井宴はまた尋ねた。「津上に定住する気はないのか?」

「ええ」

「なぜだ?」

「この街が好きじゃないんです」

「……六年前のネットでの炎上騒ぎが原因か?」

そのことに触れられ、藤堂光瑠は途端に不機嫌になり、薄井宴を睨みつけた!

薄井宴は言った。「過去のことはもう終わったんだ。もし津上で暮らしたいなら、俺が力になる。もうネットで叩かれる心配もないし、それに……」

「津上には残りたくありません! 私のことに構わないでください!」

藤堂光瑠は警告するように鋭く言い放つと、顔を背けて歩き去った。

薄井宴に自分のことをあまり気にかけてほしくなかっ...

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