第103章

藤堂太郎は幼稚園に通っている。

ポケットの腕時計型電話が不意に震え、彼は目を細めると立ち上がってトイレに向かった。

薄井宴に注目していたことから、その流れで薄井昌山にも注意を払っていた。

だから、薄井昌山が彼を探していると、すぐに気づくことができたのだ。

薄井昌山の腹心からメッセージが届く。

『瑠様、こんにちは。我が主が急ぎ貴方様のお力添えを必要としております。誠意は添付いたしましたので、ご確認ください』

藤堂太郎は目を細めたまま画像を開き、一目見て息を呑んだ!

薄井昌山はこんな物で自分と取引をしようというのか!?

薄井昌山は、これがどれほど貴重な物か分かってい...

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