第150章

薄井宴は彼女を睨みつけた。「そうだ!」

藤堂光瑠は呆然とした。

「そんなはずないわ。圭人にはそんな話、一度もしたことないもの」

「……俺が信じるとでも思ったか?!」

「あなた……じゃあ、よく考えてみて。圭人のあの性格で、私がそそのかせると思う? たとえ私がそんなことを考えて、彼に言ったとしても、彼が私の言うことを聞くかしら? そそのかして成功するわけないでしょう?」

薄井宴は眉をひそめた。藤堂光瑠の言葉には一理ある。

「それに、あなたも圭人がどれだけママを愛してるか知ってるでしょ。彼がママを捨てるわけないじゃない。聞き間違えたんじゃないの? もしかして、私を義理の母にしたい...

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