第190章

「ママ、こっちに来て」

 太郎はマスクを着けたまま、藤堂光瑠の手を引いて家の中へ戻った。

 薄井宴も後を追おうとしたが、太郎が彼を遮った。「あなたは外で待ってて!」

 薄井宴は「……」となった。

 太郎は薄井宴を戸外に残し、藤堂光瑠を家の中に連れて入った。

 彼は藤堂光瑠を書斎に連れて行くと、まずぬるま湯を数口飲ませて落ち着かせ、それから救心丸を一粒渡した。

 藤堂光瑠は戸惑った。「私、病気じゃないわよ、太郎?」

 「ママ、まずこれを飲んで。それから話すから」

 自分のママがどれほど繊細な心の持ち主か、太郎はよく知っていた。先に救心丸を飲ませておかなければ、本当のことなど怖く...

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