第244章

 ちょうどその時、藤堂光瑠が帰ってきた。

 薄井宴は物思いにふけりながら彼女を見つめた。例の謎の人物は、彼女を誘拐して嫁にしたいのではなかったか?

 彼女を利用して謎の人物をおびき寄せれば、確実に釣れるはずだ……。

 だが、その考えが頭に浮かんだ途端、彼はすぐさまそれを否定した。

 ダメだ!

 そんなことをすれば彼女が危険に晒される。得策ではない。

 藤堂光瑠は彼が何を考えているのか分からず、彼が煙草を吸っているのを見て、思わず口を尖らせた。

「子供たちがいるんですから、煙草を吸うなら外で吸ってもらえませんか?」

 薄井宴は答えず、その表情は読めなかった。

 藤堂光瑠は探る...

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