第27章

受付が薄井宴の言葉を伝えようとした瞬間、藤堂光瑠に遮られた。

藤堂光瑠は電話をひったくり、薄井宴に向かって言った。「薄井宴、あなたが津上にいるのは知ってるわ。私、今あなたの会社の階下にいるのよ」

薄井宴「……」

藤堂光瑠「話しなさいよ!」

薄井宴は眉をひそめた。

一体誰が情報を漏らしたのか。

藤堂光瑠は電話を握りしめたが、向こうは静まり返っている。彼女は焦れた。

「話してよ?」

「ずっと黙ってるなんて、何か悩み事でもあるの?」

薄井宴「……」

電話の向こうから一向に声が聞こえないことに、藤堂光瑠は驚いて受付のお姉さんを見た。

「あなたたちの薄井社長って、お話できない方なの...

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