第33章

藤堂光瑠はウェイトレスの視線に気づき、動きを止めて尋ねた。

「どうかしましたか?」

ウェイトレスはそこでようやく、驚きの表情を収めた。

「いえ、こんなに可愛いお子さんを初めて見たもので、つい見惚れてしまって!」

藤堂光瑠は微笑んだ。

「お褒めいただき光栄です」

ウェイトレスが出て行くと、夏川甘は興奮した様子で言った。

「ほらね、言ったでしょ。あんたたち四人を連れて出かけたら、絶対に注目の的だって!」

「だめ、もう我慢できない! 今夜は私のSNSをバズらせてやる!」

そう言うと、夏川甘はスマホを取り出し、次々と三つ子とのツーショットを撮り始めた。

彼女は三つ子にポーズを教え、ピースをさせたり、...

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