第36章

加賀景城はすぐに藤堂光瑠の口調と表情からすべてを察した。

これは痴話喧嘩だ!

そこで、場の空気を盛り上げ始める。

「おいおい、宴ちゃんもさあ、義姉さんが甘えてるんだから、早くキスの一つでもして慰めてやれよ」

他の者たちもそれを見て、便乗して囃し立てる。

「キスだけで足りるかよ。俺たちの宴兄貴の体力なら、もっと深く交流しなきゃなあ?」

一同は口々に煽り立てた。「宴兄貴、キスしろ! キスしろ!」

藤堂光瑠の顔が瞬く間に赤くなった。

「そんなこと、できるわけないでしょう?」

加賀景城は笑った。「どうしてできないんだ? まさか義姉さん、俺たちの宴ちゃんが『できない』とでも思ってるのか...

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