第93章

しばらくして、藤堂光瑠の呼吸が突然荒くなり、額には細かい冷や汗が滲み出た。

薄井宴は眉をぐっと寄せた。「藤堂光瑠!」

藤堂光瑠は目を赤くした。

「彼の今の状態はとても良くない! ものすごく……! 彼は……彼は……」

薄井宴は息を呑み、胸の高鳴りを抑えつけた。「彼はどうしたんだ?!」

「彼の心には光も、水も、生命も、そして前向きで明るいものが何一つない。ただ果てしない霧と砂嵐があるだけ。彼は人の気配すらない砂漠で満身創痍で倒れていて、息も絶え絶え……もう、持ちこたえられない」

薄井宴の頭が嗡と鳴った。「持ちこたえられないとはどういう意味だ? はっきり言え!」

「精神世界に...

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