第11章:お別れ

セーブル視点

ホテルへ車を走らせながら、あの贈り物のことを考えていた。カエランは気に入ってくれるだろうか。

カエランに初めて会ったのは、私が十歳の時だった。父に連れられてブラックウッド邸を公式訪問した際のことだ。当時十九歳だったカエランは、すでに将来のリーダーとしての片鱗を見せていた。

「こんにちは、カエラン」私は父の手を握りしめながら、ささやいた。

カエランはその真剣な青い瞳で私を見下ろした。「やあ」短い頷きだけだった。

十歳の私の心はすくみ上がった。訪問の間中、私はずっと父の後ろに隠れていたものだ。

きっと彼は、あの日のことなど覚えてもいないだろう。

でも私は覚えていた。彼が...

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