第154話:あなたがいなくて寂しい

ピーターは愕然として私を見つめた。「これ……これは『ルナ・レガシー』じゃないか? お前、正気か?」

私の声には、絶対的な確信が込められていた。「彼女こそが、私の唯一の女王(クイーン)だ。この時計は最初から、彼女の元にあるべきものなんだ」

私は時計を裏返し、背面になめらかな書体で刻まれた古代ルーン文字を見せた。「『時は真実の愛の証人となり、真実の愛は時を超越する』……そう刻まれている」

セーブル視点

翌日の夕暮れ時、私は病院の正面玄関を出た。

銀色のスポーツカーに背を預け、両手をポケットに深く突っ込んでいるピーターの姿が目に入った。彼は私に気づくと、慌てて姿勢を正した。

「セ...

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