第171章:隠されたコンパートメント

「セーブル・クロフォードは俺の運命の番(つがい)であり、生涯ただ一人の王妃だ」

「彼女と別れたのは、お前の魔手から守るためだった」

「彼女が傷つく姿を見るくらいなら、自分が苦しむほうがましだ」

ルシアンはわなわなと震え出した。「お前……俺を騙していたのか……」

「ようやく分かったか。お前は俺に復讐していたんじゃない。俺を助けていたんだ」

「お前がセーブルを傷つけようとするたび、彼女こそが俺のすべてだと確信できたからな」

「離ればなれになるたびに、共に過ごす時間の尊さを思い知らされた」

ルシアンは突然、狂ったように笑い出した。「ハハハ……ハハハ……」

「俺はバカだ! とんだ大マヌ...

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