第178話王の恋人

「ちょっと待って――それってカエランのお父さんじゃない? じゃあ、今のカエランは……」スカーレットは考え込むように言葉を切った。

私の声は自然と柔らかくなった。「彼はすごく苦しんでる。彼に会ったとき、本当にもう……」

「待ちなさい」スカーレットの声が鋭くなり、ハッとした響きを帯びた。「彼に会ったの? 二人は会ったってこと?」

私は話題を逸らそうとした。「どこでそのニュースを見たの? どれくらい詳しく報道されてた?」

「セーブル、話を逸らさないで」スカーレットは騙されなかった。「今、『彼に会ったとき』って言ったわよね。一体どういう経緯で出くわしたの?」

私は口ごもった。「私……たまたま...

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