第181章:一瞬たりともない

彼は虚空を見つめたまま、私の存在に全く気づいていないようだった。

私は壁のスイッチを見つけ、メインの照明をつけた。

激しい白い光が部屋に溢れ出す。カエランは突然の明るさに目を細め、片腕を上げて光を遮った。

「エドワード……いつからそんなに勇敢になったんだ? ノックもしないで入ってくるなんて」

彼の声は荒く、酒で呂律が回っていなかった。

「私はいつだって勇敢よ」

カエランの体が強張った。彼はゆっくりと腕を下ろし、目が慣れるにつれて瞬きを繰り返す。

彼の視線が私を捉えると、その表情は混乱から衝撃へ、そして完全な信じられないという顔へと変わっていった。

「サビ……どうして……ありえな...

ログインして続きを読む