チャプター 190: アルファベットS

祭司が厳かに告げた。「では、新郎より誓いの言葉を」

カエランは私の顔を両手で優しく包み込んだ。その瞳は感極まって潤み、声は溢れる感情に震えていた。

「セイブル、初めて出会ったその瞬間から、君は僕の世界を完全に変えてしまった。君に出会う前、僕は一生孤独に生きる運命だと思っていた。君がその優しさ、勇気、そして光を僕の人生にもたらしてくれるまでは」

彼は一呼吸置き、深く息を吸い込むと、力強い声で続けた。

「無条件の愛とは何か、真の幸福とはどんなものか、君が教えてくれた。君は僕の心の闇を癒やしただけじゃない。この世界にこれほど純粋で美しいものが存在すると信じさせてくれたんだ」

彼は左手にはめ...

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