第198章:コントラクション

「サビ、頼む……」カエランの声は震え、掠れていた。彼はゆっくりと一歩踏み出し、両手を広げた。「ナイフを置いてくれ。話し合おう」

私は喉元の刃をさらに強く押し付けた。冷たい鋼鉄の感触が肌に伝わる。「それ以上近づかないで!」

彼は凍りついたように足を止め、その瞳は恐怖に染まっていた。「わかった、わかったよ。動かない」彼は降参するように両手を高く上げたが、その手は小刻みに震えていた。「だから頼む、自分を傷つけないでくれ。条件があるなら何でも飲むから」

「何が望みか言ったはずよ」私の声は枯れていたが、意志は固かった。「番(つがい)の絆を断ち切ってほしいの」

「だめだ。それだけはできない、サビ。...

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