第24章:王様のファーストメイト

彼の瞳は普段の深い青色に戻っていた――ほんの数秒で狼を抑え込んだのだ。当然だ。彼はライカン王なのだから。

カエランが一歩、私に近づく。そして、もう一歩。

突然、胸が焼けつくような熱に襲われた。その感覚は溶岩のように広がっていく。けれど、そこに歓喜はなく、代わりに恐怖が波のように押し寄せてきた。

嘘……嘘、嘘、嘘。こんなのありえない……。

思考が混乱の渦に飲み込まれていく。カエランはただの……ただの頼れる兄のような存在だと思っていたのに。安全な人だと。

ダレルの裏切りから逃げ出したばかりなのに、今度はそれよりさらに強い絆に向き合わなきゃいけないの?

私は反射的に身を引いた。呼吸が浅く...

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