第34章:王様はゲイ

心臓が止まるかと思った。

ライカン王の血に関する伝説は、人狼なら誰もが知っている。その一滴は、一般人が一生かけて稼ぐ金額以上の価値がある。それは神聖であり、計り知れないほど貴重なものだ。

私はマスク越しに彼を見つめた。

会ったこともない男を救うために、それを使おうというのか。一体何のために?

『あんたのためよ。ああ、この愛すべき大馬鹿者。昨日、何年も前からあんたに惚れてるって言われたばかりでしょ? 点と点を繋げなさいよ、天才さん』エズメが言った。

思わず、私は手のひらで自分の額を叩いてしまった。

「クロフォード先生?」ピーターソン医師が心配そうに私を見た。「大丈夫ですか?」

「大...

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