第48話彼女を倒せ

「妻」。その言葉は、自然と口をついて出た。

カエランの腕が、すぐに私の肩を抱き寄せた。彼は身をかがめると、私の額に優しくキスを落とす。

「ありがとう、我が女王(マイ・クイーン)」

その愛称に、胸の奥から温かいものが込み上げてくる。だが、ブレアの方を振り返った瞬間、彼女の表情に何かが過ぎったのが見えた。

彼女の笑みが崩れることはなかった。しかし、顎がわずかに上がる。歓迎の姿勢から、まるで……品定めをするかのような態度へと変化するには、それだけで十分だった。

「あら、そう?」彼女の声は完璧なまでに愛想がよかった。「まあ、それもそうよね。でも、長年の癖っていうのはなかなか抜けないものだから...

ログインして続きを読む