第63章:真実

セーブル視点

カエランに手を引かれ、私たちは病院の廊下を歩いた。彼の手は私の手をしっかりと握りしめている。駐車場に停めた車に辿り着くまで、二人とも無言だった。

エンジンがかかり、静かな唸り音が響く。しばらく沈黙が流れた後、ようやく彼が口を開いた。

「ブレアがあんなふうになるなんて、今までなかった」彼の声には困惑が滲んでいた。「あいつはいつだって分別があったし、言っていいことと悪いことの区別もついていたはずだ。どうしてあんなに……無礼になったのか分からない」

私は彼の方を向いた。「カエラン、ブレアはあなたを愛しているのよ。本当に気づいてないの?」

ハンドルを握る彼の手が固まり、動きが止...

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