第80話キミの手いっぱい

「黙れ」

彼の声はオクターブ低くなり、冷徹な響きで命令した。

「俺の番だ」

彼は首からネクタイを引き抜き、解いた。

「両手を上げろ」

私はほんの一瞬ためらったが、すぐに両腕を頭上に上げた。彼は私の手首にシルクのネクタイを巻き付け、きつく縛り上げた。

「よし」彼は自分の手際を満足げに眺めて言った。「ずっといい」

彼の手指が私の腕をなぞり、肩へと降りてくる。

「あの知らない男に、随分と積極的だったな」

耳元にかかる彼の吐息は熱く、低い囁き声が鼓膜を揺らす。

「あれを見て……腹が立ったよ」

次の瞬間、彼は私のショーツを剥ぎ取った。腰を掴まれると、私はうつ伏せにひっくり返された。

最初の一...

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