第44話

分からないほどの時が経ったのち、南蘭はようやく立ち上がった。すでに自分が食べ尽くした茶碗を持って厨房へと向かう。

その道中、どれほどの下男や侍女にぶつかったことか。主人のあの魂の抜けたような様子を見て、知らない者なら、どこかのお嬢様に告白を断られでもしたのかと思うほどだった！

古の人々の噂好きは、今どきの井戸端会議のおばさんたちに決して劣らない。南蘭が茶碗を持って厨房に着く前に、彼の噂はすでに屋敷中に広まっていた。

当然、執事もそれらの侍女たちの口から、この一件を知ることとなった。

これはいけない。安府の執事として、未来の奥方様の選択は慎重に慎重を重ねねばならない！

良き主の下では、...