第109章 お前は誰だ

今夜が最後なのだからと、中林真由は極限まで神経を張り詰めていた。

最後のパートナー交換という名の余興。金持ちたちの玩具になど、断じてなりたくない。

目隠しをされる直前まで今野敦史の姿を探し求めたが、彼の影すら見当たらず、真由は完全にパニックに陥った。

だが、給仕の手によって無情にも視界は奪われ、音楽が鳴り響くと同時に会場の空気が熱を帯び始めた。

司会者が手拍子を煽り、ゲストたちをダンスフロアの中央へと促していく。

真由は壁に手をついたまま、記憶を頼りに会場の隅へと足を向けた。

あの辺りには椅子が数列並んでいたはずだ。誰にも捕まらなければ、安全圏と言える。

何度か脚をぶつけ、走る...

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