第122章 朝食

中林真由は、手の中にあるルビーのネックレスを静かに見つめ、やがてゆっくりと拳を握りしめた。

 今野敦史が彼女を信じたことなど、一度たりともなかった。彼にとって自分はただの道具。それ以上でも以下でもないのだ。

 仕事の道具としては彼を裏切るかもしれず、夜の道具としては、他の男に抱かれる可能性もあるということか。

 彼は他人には平気で彼女を差し出すくせに、彼女自身の意思で体をどうこうするのは許さない。一体、何の権利があって?

 真由の瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。

 今夜、この部屋には誰もいない。だから一度だけ、心のままに泣こう。そして涙が枯れたら、二度と今野敦史という最低な男のために...

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