第141章 チンピラ

あの時、クラブの個室で、中林真由は無様に床に這いつくばっていた。何度か立ち上がろうとしたが、そのたびに力任せに押し戻された。

周囲の男たちが浮かべる下卑た笑み。絶望の淵に立たされていた彼女を救い出したのは、今野敦史だった。

車の中で震えが止まらない彼女を、今野敦史はあの独特な眼差しで見下ろしていた。

「これからは俺の女だ。何を怖がることがある?」

「いい子だ。お前には俺がついている。あんな連中、恐れることはない」

「いい子だ、震えるな。俺までどうにかなりそうだ」

なぜか今野敦史は、執拗に彼女を「いい子」と呼んだ。それがたまらなく不快だった。

私は人間だ。モノ扱いしないでほしい。...

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