第154章 俊也

中林真由は首を横に振った。

「ううん、もう手はないわ。敏腕弁護士にも相談したけれど、被害者が示談に応じない限り、減刑は望めないって」

 彼女は病室の方を振り返り、一つため息をついた。

「……いいわ、明日また来る。とにかく許してもらうしかないもの。渉にだって、情状酌量の余地はあるんだから」

 もし本当に母の心臓が誰かに横取りされたのだとしたら、それは単なる『情状酌量』どころの話ではない。

 江口俊也は、寂しげな彼女の横顔を見つめ、先ほどの光景を思い出して眉をひそめた。

 まだ来るつもりなのか? あんな屈辱を受け続けるというのか。

 さっきの小山という夫人は、まさにヒステリーそのも...

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